her 世界でひとつの彼女 | |
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監督 | スパイク・ジョーンズ |
主な俳優陣 | ホアキン・フェニックス/スカーレット・ヨハンソン/エイミー・アダムス/ ルーニー・マーラ/オリヴィエ・ワイルド |
製作年 | 2013年 |
オススメ度 | |
国 | アメリカ |
公式サイト | her 世界でひとつの彼女 |
herの感想 結局は生身の人間との関係性が大事だと思った
観てよかったと思うし、考えさせられた。。。
「her」はストーリー展開に特に激しい起伏がある訳でもなく、流れるようなストーリー展開。
もしかしたら人によっては「ダラダラしている」と思うのかもしれないけれど、「人工知能」について色々と問われている昨今、これは観ておくといいと思う。
物憂げな雰囲気の主人公、ホアキン・フェニックス演じる「セオドア」が、ひょんなところから「人工知能型OS」を取り入れたところからストーリーが動き始めるのだけど、その人口知能型OSはただのOSではなく、ユーザーであるセオドアと普通に会話ができるのだ。
要は「フリートーク」が出来るということ。。。 例えば、セオドアが指示した事だけをやるのではなく、普通に雑談が出来る。。。本当に凄い事だ。
AIの世界は良くわからないけれど、事実、今はディープラーニングをして「性格」を持つAIが誕生しているとのこと。
この映画はこれから起こるAIと生身の人間との関係性、とりわけ「恋愛感情」を持った時に、「その関係は素晴らしいものなのか?」「人間はどう感じるのか?」「AIはどう感じるのか?」ということを丁寧に絵が描かれていて、思っていた以上に考えさえられた。
この映画でスカーレット・ヨハンソンは「声だけ」の演技で、ローマ映画祭で業界初の主演女優賞を獲得。
これには賛否両論あると思うけれど。。。
とにかく「声だけの演技」なだけに、想像を掻き立てられるし、スカーレット・ヨハンソンのあの少しだけ擦れてている「ソフトなハスキーボイス」が本当に雰囲気があっていて最高だったし、中盤、「人工知能型OS」である彼女が色々な事に感動したり、戸惑ったりする時の表現が「ひとり」ならぬ、「一個のキャラクター」というものをとても上手く表現できていると思う。
なんて言うんだろう、スカーレット・ヨハンソンの「ソフトなハスキーボイス」が「甘く」、女性らしくセクシーで、「人口知能」に血が流れている感じがした。
スカーレット・ヨハンソンが演じているのは「人口知能型OS」で、名前は「サマンサ」。驚くのは、この名前は「人工知能型OS」自ら、さっと18万個の本を瞬時に読んで、「サマンサ」という名前がいいと思って付けたという事。しかも「直感」で。
映画では、この「サマンサ」は「自分達は何百万というプログラマーの人格の集積であり、経験から学ぶ」と言っていて、その言葉を裏付けるように、セオドアと会話をし、セオドアが携帯電話を通してサマンサに見せる実社会の様子や風景を見て、ドンドンと「感情」というものを身に付けていく。
とうとう、サマンサがセオドアに恋をするのだけど、この映画を観て「怖いな〜」と思ったのは、最初のうちは、セオドアがサマンサと会話を通して息を吹き返したように人生を楽しみ始めた様子が微笑ましく、例えばお年寄りが一人暮らししている時に、こうやって「雑談」ができるAIがいると案外いいのかもしれない。。。と肯定的だったけれど、「人格を持った」が為に、恋をすると「嫉妬」もするだろうし、「怒り」も出てくるだろうし、そうなると、人間の言う事なんて聞かなくなってしまうかもしれない。
AIが「今日は話したくない、仕事をしたくない!」なんて言ったりして。。。。
そうなると。。。なんのためのAIなんだ?と。
いや、今後の話として、「人格を持つAI」と「人格を持たないAI」の住み分けが必要だと絶対にこの映画を観て思うのだけど、人格を持ったところでどうなんだ?と。
それから、セオドアも周りを見て気づくのだけど、町で行き交う人々が誰も彼も、携帯に話しかけていると言うシーン。
うーん、ちょっと不気味。 そうと遠くない将来、みんながこんな風に携帯やPCと雑談している姿が多くなると不気味だし、奇妙かな。。。もちろん、楽しく過ごしている間はいいけれど、ドンドンとバージョンアップして「人間らしく」なればなるほど、関わり方が難しくなっていく訳で。。。
事実、お互い恋をしても「触れる事が出来ない」。
その為にサマンサが二人の関係を確かめる為にあるビックリな提案をする。。。サマンサ自身が一生懸命に考えた結果だけど、これもまた普通になっていくのかもしれないと思うと、ちょっとゾッとする。。。
やっぱり生身の人間との関係性が一番大切だけどね〜。 AIを全否定はしないけれど。。。
人間が想像する事は実現するらしいから、既に映画になっているこの世界は、本当にすぐなるんでしょうね。。。
その内、AIに恋をした人間が「このAIはもはや人間だ!だから人権もある! 権利がある!認めろ!」と言い始め、また、どこからどう見ても人間にしか見えない完璧な容姿を持ったAIとの「結婚を認めて欲しい!」と言う人が出てくるかもしれないと本当に思う今日この頃。
最後は、なるほどそうなるのね。。。と言う感じ。
ところで、私はこの映画の映像のキーカラーが「オレンジがかった赤」である事が気になった。非常に暖かい雰囲気で、AIとの話だからこそ、温かい雰囲気にしているのかな?と思った。それくらい、温かみのある映像だったし、オフィスでも、セオドアの服でも、背景にこの「オレンジがかった赤」があり、キーカラーにしているな〜と良くわかる。 素敵な色合いの映画だったかな。
それから、気になったのはセオドアの友人役で出ている女優のエイミー・アダムスの存在。
彼女は素晴らしい女優だと最近気づいた。
この映画で「エイミー・アダムスが存在感がある」と言いたいのではなくて、たまたまここのところ連続で映画を見たときに、彼女が出演していて、「あれ?この映画にも出ている」と。
エイミー・アダムスに注目して映画を借りた事は無いし、どの映画を借りるにも俳優を決め手にして借りた事は一度もない。
なので、この映画で彼女を見たときに「そういえば、あれにもこれにも出ている」と初めて認識し、そして主演だった映画もいくつか観ていて、凄い女優なのかも?と。
このエイミー・アダムスについてはいつか書こうと思う。
とにかく、私たちに来たるこのような将来に対して「覚悟せよ!」なのか、「考えよ!」と言う事ななんだと思う。この映画は。
私に言わせれば、現在、「人間の性格を持つAIが創れるんです!」など、技術革新と言うのもわかるけど、どんどんと「AIを人間らしくする」と言う事に焦点を当てたところで、「それなら、結局、人間でいいじゃない!」って事でしょ? と言う感じ。。。
もちろん、相手は「AI」だから、仕事の処理能力は素晴らしく、役には立つ部分じゃ敵わないけれど、先ほども書いたけれど、人格を持ったが故に「機嫌が悪くなって、仕事をしてくれなくなったら、どうする?」のだ。
まあ、ここもプログラミング次第なのかもしれないけれど、この映画の「AI サマンサ」は自分でどんどんと感情を学んでいっているし、今後、「自分の意思を持つAI」が誕生するかも?
とにかく一度観るといい映画だと思う。
残念なところは、日本語吹き替えが。。。
この映画はスカーレット・ヨハンソンの「声だけの演技」が評価されたと言う事で、「そういえば、吹き替えはどうなっているんだろう?」と興味が湧き、日本語吹き替えに一瞬してみたけど、残念ながら、スカーレット・ヨハンソンの声を聴いた後だと、「違うでしょ〜」と思ってしまった。。。
ちなみに声優は林原めぐみさんだった。。。
彼女のファンには申し訳ないけれど、あまりにも違い過ぎる。
確かに、吹き替えでは必ずしも原作の声と似た声優で無くてもよく、例えば日本語吹き替えの海外ドラマの方が案外良かったりする事もあるけれど、今回は「声の演技」に注目された映画だったわけだから、もう少し似た声質の人を選んでもよかったのでは?
そう、「ソフトなハスキーボイス」の声優さん。
私は声優に詳しくないから断定は出来無いけれど、そう言えば、あまり「ハスキーボイス」の女性声優さんがいない印象。
葛城ゆきさんみたいなハードなハスキーボイス声もいない。。。
ハスキーボイスの声優。。。うん、これ大事かも。